引用 [構想]
「(中略)乳幼児の言語獲得の初期に、言語の韻律、特にリズム特性が獲得を牽引する役割を果たすという「韻律によるブートストラップ仮説」(Prosodic Bootstrap Hypothesis)が提唱されている。例えば、Nazzi and Ramus(2003)によれば、乳児は生得的に言語のリズムを弁別する能力を備えており、生後早い段階で自分が学んでいる言語のリズムが何であるかを確認できる。その結果、そのリズムに最適化した単語の切り出し方略を用いることができ、それがその後の言語獲得をスムーズに進行させるというのである。」
(馬塚れい子, 「言語獲得の基盤をなすリズム認知」, 大修館書店, 言語, p62, 2009.6)
「(中略)音の時間的なつながりである「音脈(auditory stream)」が知覚される際に、一種の文法が関与するとの仮説を立てている。この「聴覚の文法(auditory grammar)」を適用する際の音脈の構成要素は「音の始まり」「音の終わり」「継続部」「空白」の四種類である。たとえば、「空白」->「音の始まり」というつながりは文法的であり、「空白」->「継続部」というつながりは非文法的である。ここから推測されることの一つは、母音のような音を、どこで音が始まったか判らないように少しずつ強くしてゆこうとしても、「空白」->「継続部」という非文法的なつながりに対応する、音がいつの間にか鳴っていたというような知覚内容は成立しない。「空白」->「音の始まり」->「継続部」というつながりが知覚的に形成され、「音の始まり」が必ずどこかの時点にあるように知覚されることになる。ここから、二つの母音を、それぞれ始まりをもつ別々の事象として聴取者に聴いてもらうには、あいだに空白時間を挟めばよいことが判る。」 (中島祥好, 「聴覚におけるリズム知覚」, 大修館書店, 言語, p73, 2009.6)
「(中略)音の時間的なつながりである「音脈(auditory stream)」が知覚される際に、一種の文法が関与するとの仮説を立てている。この「聴覚の文法(auditory grammar)」を適用する際の音脈の構成要素は「音の始まり」「音の終わり」「継続部」「空白」の四種類である。たとえば、「空白」->「音の始まり」というつながりは文法的であり、「空白」->「継続部」というつながりは非文法的である。ここから推測されることの一つは、母音のような音を、どこで音が始まったか判らないように少しずつ強くしてゆこうとしても、「空白」->「継続部」という非文法的なつながりに対応する、音がいつの間にか鳴っていたというような知覚内容は成立しない。「空白」->「音の始まり」->「継続部」というつながりが知覚的に形成され、「音の始まり」が必ずどこかの時点にあるように知覚されることになる。ここから、二つの母音を、それぞれ始まりをもつ別々の事象として聴取者に聴いてもらうには、あいだに空白時間を挟めばよいことが判る。」 (中島祥好, 「聴覚におけるリズム知覚」, 大修館書店, 言語, p73, 2009.6)
2009-09-21 14:59
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0